心理カウンセラーのブログ

過保護と過干渉と不登校

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こんにちは。
不登校カウンセリングセンターの黒瀧素子(くろたきもとこ)です。

子育て中のあなたは、
『過保護』と『過干渉』の違いをご存じですか?
この二つの言葉、どちらも子どもに手をかけすぎているという感じを受けます。どちらの子育ても、不登校の原因の一つになることもあるのです。この二つの言葉には、こんな違いがあるんです。


・過保護・・・子どもが望むことを親がやってあげすぎること

・過干渉・・・親が望むことを子どもにやってあげすぎること

どちらも親が子どもにやってあげすぎているという点では同じですが、子どもが望んでいるのか望んでいないのかが大きな違いです。

過保護はいい場合もある

過保護は子どもが望むことを必要以上にしてあげてしまうこと。

過保護の例

・何歳になっても子どものわがままを聞き続ける
・子どもが欲しがるものをなんでも買ってあげる
・子どもが自分でできるけど着替えを手伝ってほしがるので手伝う

といった行動は過保護にあたります。

過保護はいい場合もあります。子どもの願いを親が聞いてあげることで、子どもは欲求を満たされ、親からの愛情を感じることができます。欲求が満たされた子どもは満足して精神的に安定することにつながり、過保護は自立へとつながります。

ただ、一概にそうでないこともあります。

親が過保護にすることによって自分の意志がいつも肯定されることで、プライドが高く自己中心的になってしまうこともあります。
親が子どもの宿題をやってあげてしまってはまったく子どものためになりません。子どもはそれを当たり前ととらえてしまったり、誰かが何とかしてくれたりということを学習してしまい、自分で解決する力が育たなくなる可能性があります。
ゲームやスマートフォンなどの電子機器類やおもちゃやマンガなどの物理的な居心地の良さ=自由だけを子どもが望むからといって与えすぎてしまってルールなどの責任がないと、ストレス耐性が下がってしまいます。ゲーム障害というWHOに認定された疾病があるように、ゲームやスマートフォンはやめることが困難な依存症やうつなどの弊害を起こしていまう可能性もあるのです。

子どもにもよりますし、それ以外の要素もあるので一概にいいわるいと言いきれないところもあるのですが、不登校の子どもはとくに精神的な居心地のよさという点では過保護でいい部分もたくさんあるのですが、物理的な居心地のよさを与えすぎないように注意が必要です。

物理的居心地のよさと精神的居心地の良さは違います

過干渉は親の価値観を押し付ける行為

過干渉は、子どもが望んでいないことを親が先回りして親の判断・価値観・観念でやってしまいます。過干渉は子どもの気持ちはおいてけぼりにして、親の判断・価値観・観念を押し付けています。なので、後述する危険性もはらんでいるので、過干渉にならないようにしたいものです。

過干渉の例

・次の日の準備を親がしてしまう
・子どもの友だちを親が選ぶ
・子どもの部屋を親が掃除する
・子どもの進路や就職先を親が決めてしまう
・子どもがやりたくない習い事をさせる
・子ども同士のLINE・メール等のやりとりを親が勝手にチェックする

過干渉はよくないですが、かといって子育て中においては、干渉が必要なこともありますよね。どうしてもやってあげた方がいいことややらせなくてはいけないことも出てきますよね。

過干渉になってしまうのは、親自身のためなのです。

・親の思い通りに子どもをコントロールしたい
・子どもがこのままでは将来どうなるんだろうという不安・恐れに親自身が耐えられない
・仕事などの都合で時間がなく過干渉せざるをえない

という理由で過干渉になってしまうことがあります。過干渉になっている親自身は、「子どものため」と思ってやっていて、自分が過干渉になっているということはなかなか気づけないということもよくあります。

過干渉にならないためにはどうしたらいいかの判断基準として、

・子どもが望んでいることかどうか
・子どもが望んでいなくてもしつけとしてやらなければいけないかどうか

という点を親がその都度考えて判断していきましょう。

過干渉の危険性

過干渉の子育ては、以下のような危険性をはらんでいます。

1.自分に自信が持てない

親が先回りしてやってあげすぎると、子どもは自分に自信が持てず自分で決めることができなくなっていきます。子どもが失敗した経験から学ぶチャンスを奪ってしまうのです。

2.自主性が育たない・自立できない

過干渉の子育てでは親が先回りして子どもに指示を出すので、子どもは自分で考えることをしなくなり、相手の指示を待つ指示待ち人間になってしまう危険性があります。
また、自分の代わりに親が他人とのやり取りをやってくれるので、イヤなことをされてもどうしたいいかわからず、他人に対し正当な自己主張をすることができなくなったり、自分で責任を取らず人のせいにすることもでてきます。

3.相手への思いやりがもてない

自分の気持ちを否定されるため、自分自身を大切にする自尊心が育ちません。自分との関係がうまくいかないので、他者との関係もうまくいきません。

さいごに

自分の子育ては過干渉なところがあるな、と気づいても、最初はなかなか認めたくないということもあるでしょう。よかれとやっていたことが、自分のせいで子どもが不登校になってしまったと思いたくないですよね。

もちろん、過保護・過干渉が不登校の原因の一つとしてある可能性があるだけで、様々な要素が複合的に絡み合って不登校ということになるので、親御さんだけが原因ではないのです。

不登校の原因は家庭環境だけではないのです

もし親御さんご自身が過干渉の子育てをしている、と気づかれた方は、もしかしたらご自身も過干渉な親に育てられている可能性があります。やはり子育ては、自分が親から育てられた経験が一番影響を受けることが多いのですから。それしか知らないという方がほとんどでしょう。

不登校など親子関係や家族関係がうまくいかないという場合、子育てや不登校の専門家やに相談して、うまくいく方法を学ぶことも大切です。一人で悩んでいても同じことを繰り返してしまうという時は、別の方法を試してみましょうというサインなのかもしれませんよ。

あきらめないでくださいね。親のあなたがまず人生を楽しむことが大切ですよ。

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