心理士のブログ

このままでいい

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「私はこのままでいい。この子もこのままでいい」から始まる、不登校の“自然な解決”

こんにちは、
不登校カウンセリングセンターの真鍋良得です。

「不登校はいつ終わるの?」——この問いは、多くの親御さんの胸に長く居座ります。
私はその問いに対し、よく、こうお伝えしています。
親であるあなたの心が安らぎ、あなた自身を「このままでいい」と認められたとき、子どもは“自分を隠さなくていい”と感じ始め、物事は自然と動き出します。

なぜ「親の安らぎ」がカギになるの?

不登校の子は、よく「自分を人前から隠す」ように振る舞います。
それは「今の自分はダメかもしれない」「見せたら否定されるかも」という怖さがあるから。
だからこそ、家が“安全基地”であることが何よりの土台になります。

そして安全基地をつくる最短ルートは、親が自分を責めるのをやめ、まず自分にOKを出すこと
「学校に行かせられない私はダメだ」
「不登校の親だと思われるのが恥ずかしい」
——その思いをそっと下ろし、「私はこのままでいい」を自分に許すと、家の空気がやわらぎます。
その空気は子どもに伝わり、
「自分を隠さなくていいかも」という感覚を育てます。
ここから、子どもの主体的な動きが少しずつ戻ってきます。

親が「自分を隠さない」ための3つのステップ

1) セルフ共感:「今の私」に〇(まる)をつける

  • まず自分の感情を言葉にします。
    例)「不安だ」「焦っている」「恥ずかしい」「情けない」
  • さらに言葉を添えます。
    例)「そう感じる私でいい」「そう思う背景がちゃんとあるよね」

ミニワーク(1日3分)
① 今日の正直な気持ちを3つ書く
② それぞれに「それでいい」と小さく〇をつける
③ 最後に深呼吸を3回

2) 罪悪感を下ろす言葉を持つ

  • ×「行かせられない私はダメ」
  • 〇「私は私にできるベストを尽くしている。焦らなくていい」
  • ×「この子を変えなきゃ」
  • 〇「この子のペースを信じて、いま必要な安心を用意しよう」

3) 小さな「好き」を一つ戻す

親が自分の好き・心地よさを少し取り戻すと、笑顔と余裕が増えます。

  • 例)お気に入りの服を着る/好きな音楽を流す/10分の散歩
  • 「親の“ご機嫌”は、子の“安全感”」。小さくて十分、効きます。

子どもへの関わり:結果ではなく“気持ち”を受けとめる

  • ×「いつ学校行けるの?」(結果の確認)
  • 〇「今日はどんな気持ち?」(今の内側に寄りそう)
  • ×「頑張れば行けるでしょ?」(正論の上書き)
  • 〇「行きたい気持ちも、怖い気持ちも、どっちも大事」(両方に〇)
  • ×「せっかく決めたのに行かないの?」(評価)
  • 〇「行こうと思えた“その気持ち”がうれしい。今日は“行かない”の気持ちに寄りそうね」(意図を尊重)

ポイントは「全肯定・全共感」
行けても行けなくても、そのときの気持ちに〇をつける。
この積み重ねが「自分を隠さなくていい」の確信を育てます。

「親が緩む→子が動き出す」変化の流れ(見取り図)

  1. 親が自分を責めるのをやめる(セルフ共感・〇つけ)
  2. 家の空気が柔らかくなる(安心基地ができる)
  3. 子どもの表情・言葉が少しほぐれる(小さな会話・興味の芽)
  4. “自分から”の小さな行動が増える(外に出る/好きな活動に挑戦 など)
  5. 学校・学びへの接続が子ども主体で起こる(頻度や形は人それぞれ)

※大事なのは、親が結果を急がないこと。芽が出る土を整える役目に徹すると、子は自分のタイミングで動きます。

よくある不安Q&A

Q. 「このままでいい」は甘やかしでは?
A. 甘やかしは“責任の放棄”。
「このままでいい」は“存在の承認”です。存在が安全だと、人は自然に行動へ向かいます。

Q. 将来が不安。今、勉強は?
A. 将来の土台は「安心感」。安心が整うほど、学びの吸収力は上がります。順番は安心→行動→学び

Q. 親が折れそうな日は?
A. それでいい日もあります。
「今日はしんどい私を休ませる」が最優先。
休むことも“育てる行動”の一部です。

今日からできる「3つの小さな実践」

  1. 朝の一言:「私はこのままでいい。子どももこのままでいい」
  2. 夕方3分のふり返り:今日の気持ちに〇を3つ
  3. 1日1回の“聴くだけ”:助言なしで3分、子の話(または沈黙)に寄りそう

変化は“親の内側”から伝わっていく

あるお母さんは、自分を隠す生き方をやめ、好きや弱さに〇をつけていくうちに、子どもが主体的に外へ向かう姿を目にしました。
“行けた/行けない”に一喜一憂せず、「その気持ちが出てきたこと」を大切にする声かけへ。
その結果、塾や部活に自分の意思で近づく——そんな自然な流れ
が生まれました。

大事なのは、特別なテクニックよりも、親の心の姿勢
「私もこの子も、このままでいい」。
この確かな安心が、子どもの内側に「隠れなくていい」を灯します。
そして不登校は、“戦って克服する”のではなく、“ほどけて終わっていく”ものに変わります。

最後に(大切な補足)

  • もし「死にたい」など命に関わる言葉が出たときは、評価や説得より“そばにいること”を最優先にし、必要に応じて学校・地域の相談窓口や専門機関へつないでください。
    親が悪いわけでも、子が弱いわけでもありません。
    助けを借りることも、大切な力です。
  • セルフ共感や〇(まる)つけは、続けるほど精度が上がります。
    完璧でなくて大丈夫。
    “できた日”を数えるつもりで、今日の一歩から始めてみてください。

あなたの安らぎが、子どもの安心になります。
そして、安心が整った先に、子ども自身の“動きたい”が芽吹く。
それが、「私はこのままでいい。この子もこのままでいい」から始まる、不登校の自然な解決です。

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