こんにちは、
不登校カウンセリングセンターの真鍋良得(まなべりょうえ)です。
ある日の午後、小学5年生のAさんはリビングでゲームをしていました。
Aさんのお母さんは、外でAさんの何人かの同級生が遊んでいるの目にして、Aさんに「今、みんな外で遊んでるよ。一緒に遊んでくれば?」と声をかけました。
Aさんは「別にいいよ」と答えたのですが、お母さんは外に出ていき、同級生たちに「Aさんは今一人で家でゲームしてるから、一緒に仲間に入れてあげてくれる?」と声をかけました。
同級生たちが「いいよ」と言ったので、お母さんは家に戻り、Aさんに「みんな仲間に入れてくれるって、良かったね。一緒に遊んできな!」と言いました。
Aさんは、「今日はいいよ」というのですが、お母さんは、「せっかく仲間に入れてもらえるように頼んであげたのに、なんでいいのよ。みんなと一緒に遊んだら楽しいよ!」と言って、半ば強引にAさんを外に連れ出しました。
その後、笑顔で同級生たちを遊んでいるAさんを見て、お母さんは大満足です。
ところが、次の日からAさんは学校に行かなくなりました。
その日はオンラインゲームがバージョンアップされる日で、Aさんは新しいステージをプレイするのを楽しみにしました。
何人もの友だちと一緒に遊ぶのが苦手なAさんにとっては、外で同級生たちと遊ぶ時間はものすごく気を使う時間で、なんとか場の雰囲気を壊さないようにと頑張って笑顔を作っていました。
楽しみにしていたゲームが出来なかったうえに、友だちと遊ぶことで気を使って疲れたAさんは、学校に行く気力もなくなったのです。
お母さんは子どものころ友だちと遊ぶのが楽しくて仕方がなかったので、Aさんが楽しめるようにと気を使って、仲間と遊べるようにしてあげたつもりでしたが、友だちと遊ぶより一人でいることが好きなAさんにとっては、そのことがかえって苦痛でした。
親が自分の感覚で子どもの気持を想像し、手を差し伸べようとすると、こういうことが起こり得ます。
子どもは何を望んでいるのか、何を考えているのか、そのことを子どもの立場に立って、親の頭ではなく、子どもの頭で考え、子どもが望むサポートをしてあげることが、子どもの行動の助けとなります。